House in Ikegami
池上の家
池上の家は呑川沿いに建つ木造3階建の住宅である。敷地は呑川のある南側に開けており、多くの人の目に触れる場所にあった。そこでこの地に建つ建物の佇まいは端正で美しくあるべきだと考え立面計画は慎重に進めた。平面計画は南側にリビング、寝室などの居室、北側には水廻り、納戸、階段室を配置し、敷地に合った明解な構成になっている。居室前には湾曲したバルコニーを設け、外観の表情に柔らかさと奥行きを与えながら居室のプライバシーを高めている。高度斜線による影響で階高を最小とし、1,2階の天井高さは2.1mとしている。日常的には引戸は開放し横の広がりを意識させて天井の低さを感じさせない空間としている。一方で3階のリビングは構造の梁を現しとした勾配天井とし家の中で緩急をつけている。階段室には1〜3階まで抜けた小さな吹き抜けと余剰空間を利用して本棚を設けた。単純な昇降機能を持つ階段とするのではなく、遊びのある用途を付与し、心理的な負荷を感じさせないことで3階リビングを成立させている。建築面積は小さな住宅ではあるが、断面的、立体的な繋がりを大切にすることで豊かな住宅になったと感じている。

CREDIT
DATA
名称
池上の家
所在地
東京都大田区
用途
専用住宅
構造
木造
規模
地上3階建
敷地面積
69.83㎡
建築面積
47.06㎡
延床面積
127.24㎡
法規
準防火地域・第二種高度地区
設計期間
2020年1月〜2021年2月
施工期間
2021年3月〜2021年8月